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『うちの会社、どんな補助金もらえる?』に 5 分で答えてくれる相棒ができた話
· Plugy編集部
こんな経験、ありませんか?
「補助金がもらえるなら使いたい。でも自分の会社で何が使えるのか分からない」
国・自治体が出している補助金は数千件あります。経産省・中小企業庁・厚労省・自治体ごとに分散していて、業種・規模・対象経費の条件も補助金ごとにバラバラ。
「とりあえず調べよう」と思っても、検索キーワードが分からない。それらしい補助金が見つかっても、自社が対象なのか公募要領を読まないと判断できない。気がつくと情報収集だけで半日が消える。
結果として「うちの会社は対象外だろう」と決めつけ、年間数十万〜数百万円の機会を見送る個人事業主・中小企業は多いです。
この記事では、その状況を 「AI に毎月 5 分相談する習慣」 に変える方法を紹介します。
この記事でできること
Jグランツ MCP を Claude Desktop / Cursor / Cline などに接続することで、以下のような作業を AI に指示するだけで処理できるようになります。
- 「うちの会社が申請できる補助金を全部教えて」(→ MCP の検索機能)
- 「『IT 導入補助金』の最新公募要領テキストを取得して、うちが対象か教えて」(→ MCP の詳細取得 + LLM の要約)
- 「いま受付中の補助金 199 件、締切別・金額別の集計を教えて」(→ MCP の全国集計)
- 「取得した公募要領を元に、事業計画セクションの下書きを作って」(→ LLM 汎用機能による文章生成)
「補助金を探す」「公募要領を読む」「下書きを作る」という、人間が手作業でやると数日かかる作業の情報収集と整理 + 文章生成を AI に委ねることで、経営者は「申請するかどうかの判断」と「最終的な内容の確認」に集中できます。
【重要】MCP と LLM の役割の切り分け
本 MCP の役割は 「補助金データの正確な取得」(検索・概要集計・詳細取得)に限定されます。「申請書ドラフトの生成」「事業計画の下書き」「補助金の自社適合判定」などは LLM 汎用機能 が担当します。本記事のシナリオも MCP 操作と LLM 操作を分けて記述しています。
- MCP の役割: jGrants 公開 API から
search_subsidies/get_subsidy_detail/get_subsidy_overviewなどで補助金データを取得- LLM の役割: 取得したテキストデータを材料に、要約・対象判定・下書き生成・比較などを汎用機能として処理
使用するサービスについて
Jグランツとは?
Jグランツ は、デジタル庁が運営する補助金申請のオンラインプラットフォームです。国・自治体が提供する数千件規模の補助金・助成金を一元的に検索・申請できる仕組みで、これまで紙とハンコと FAX で行われていた補助金申請を完全電子化したシステムです。
中小企業・スタートアップ・個人事業主にとって補助金・助成金は経営上の重要な資金源ですが、「自社が使える補助金がわからない」「申請書作成に時間がかかる」という課題がありました。Jグランツは検索・申請・状況確認を統一的に扱えるため、補助金活用のハードルを大きく下げています。
Jグランツ MCP とは?
Jグランツ MCP は、デジタル庁公式のオープンソース実装です(GitHub: digital-go-jp/jgrants-mcp-server)。Jグランツの API を AI から直接呼び出せるように仲介してくれます。
- 完全無料 / API キー不要
- 国の公式機関が提供する MCP として珍しい存在
- MIT ライセンスで誰でも自由に利用可能
詳細は Plugy の jgrants ページ を参照してください。
前提条件
- Claude Desktop(または Cursor / Cline)がインストール済み
- Python 3.11 以上
uv(Python パッケージマネージャ)- Git
注意: 本サイトで紹介している多くの掲載ツールは
npxで起動できる JavaScript 系ですが、Jグランツ MCP は政府公式実装で Python 製です。Python の操作が初めての方は、まずuvの公式ガイド を参照してuvをインストールしてください。Mac であればbrew install uv、Windows であれば WSL2 環境内でのインストールが推奨です。
Step 1: Jグランツ MCP のセットアップ
リポジトリのクローン
ターミナルで以下を実行します。
git clone https://github.com/digital-go-jp/jgrants-mcp-server.git
cd jgrants-mcp-server
uv sync
uv sync で必要なパッケージが自動的にインストールされます。
Claude Desktop への設定
設定ファイル(macOS: ~/Library/Application Support/Claude/claude_desktop_config.json / Windows: %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json)を編集します。
【重要】本 MCP は HTTP 経由接続(Streamable-HTTP)のみのため、Claude Desktop(ローカル接続)には FastMCP CLI プロキシ経由で接続します。先に別ターミナルで HTTP サーバーを起動しておく必要があります。
Step A: HTTP サーバーの起動(別ターミナルで)
cd /path/to/jgrants-mcp-server
uv run python -m jgrants_mcp_server.core --port 8000
このターミナルは閉じずに維持してください。
Step B: Claude Desktop の設定ファイル
{
"mcpServers": {
"jgrants": {
"command": "uvx",
"args": ["fastmcp", "run", "http://localhost:8000/mcp"]
}
}
}
uvx は uv に付属するコマンドラインツール実行機能です(uv をインストールすれば追加インストール不要)。FastMCP CLI が Claude Desktop からのローカル接続のリクエストを HTTP サーバーへ中継してくれます。
設定後、Claude Desktop を再起動します。Cursor を使う場合は url: "http://localhost:8000/mcp" の直接接続も可能です(HTTP 経由接続に対応しているため)。
編集部の実機検証(2026-05-23): 編集部が実際に動かして、HTTP サーバー → FastMCP CLI プロキシ → Claude Desktop の構成で 5 ツール全実走の動作を確認済みです。
Step 2: 動作確認
Claude Desktop を再起動後、チャット画面で以下を試してみましょう。
Jグランツに接続できているか確認して、ping を実行して
正常に接続されていれば、AI が ping ツールを呼び出して応答を返します。
実践的な活用プロンプト例
シナリオ 1: 毎月の補助金チェックを習慣化する
うちの会社(業種:IT、従業員数:5名、東京都)が申請できる、
締切が 3 ヶ月以内の補助金を一覧で教えて。
それぞれの上限額・対象経費・申請のハードルも添えて。
AI が補助金の検索ツールを使って条件で絞り込み、該当する補助金を整理してくれます。これを月初に 5 分やるだけで、毎月「使える可能性のある補助金」を見逃さなくなります。
シナリオ 2: 個別補助金の公募要領テキストを読み解く
補助金 ID xxx の詳細を get_subsidy_detail で取得して、
description テキストから、うちの会社(IT 企業・5 名・東京都)が
どのカテゴリで申請可能か、対象経費の範囲を要約して
MCP の役割: get_subsidy_detail で description(HTML を含む公募要領テキスト)+ 受付期間 + 上限額 + status を取得。
LLM の役割: 取得した description テキストを自社の業種・規模に当てはめて「対象か」「対象経費の範囲」を要約。
注意: 公募要領 PDF 本体は
filesとして API レスポンスに含まれる場合と含まれない場合があり、多くの補助金でfiles: {}空応答となります(編集部が実際に複数の補助金で動かして確認)。PDF が必要な場合はfront_subsidy_detail_page_url(jGrants ポータル URL)経由で人間が直接ダウンロードしてください。description テキストでも公募要領の概要はかなり読み取れます。
シナリオ 3: 公募要領をもとに申請書下書きを生成(LLM 汎用機能)
先ほど取得した補助金 ID xxx の公募要領テキストをもとに、
事業内容: 営業管理ツールの導入で営業効率を 30% 改善
従業員: 5 名 / 業種: IT / 設立 3 年目
の前提で、申請書の「事業計画」セクションの下書きを作って
MCP の役割: なし(このシナリオは LLM の汎用機能のみで完結) LLM の役割: 先に取得した公募要領 description テキストと自社情報を材料に、申請書の「事業計画」「収支計画」「期待される効果」セクションの下書きを生成。
重要な切り分け: Jグランツ MCP には「申請書ドラフト生成ツール」「申請テンプレート取得ツール」は提供されていません。下書き生成は LLM の汎用文章生成機能 であり、MCP の機能ではありません。MCP の役割は「公募要領 description テキストを正確に取得すること」までで、それを元に文章を書くのは LLM の責任範囲です。
この切り分けが明確になるほど、AI 連携は破綻しなくなります。「MCP が申請書を書く」と認識すると過大期待が生まれますが、「MCP がデータを取り、LLM が文章を書く」と認識すると両者の強みが活きます。
シナリオ 4: 受付中補助金の全国集計(傾向把握)
get_subsidy_overview で、いま受付中の全国補助金の集計を取得して、
締切別・金額別の傾向を教えて
MCP の役割: get_subsidy_overview(引数なし)で全国受付中補助金 199 件(編集部が 2026-05-23 時点で実際に動かして取得)の集計データ取得 — by_deadline_period(受付中 / 今月締切 / 来月締切 / 翌月以降)+ by_amount_range(1M / 10M / 100M / 100M+ / unspecified)+ urgent_deadlines 53 件 + high_amount_subsidies 33 件。
LLM の役割: 取得した集計データを「今月締切が 92 件・うち高額は X 件 / 自社業種なら IT 系の Y 件が要チェック」のように経営判断向けサマリーに変換。
注意: 採択履歴(過去の交付実績)は jGrants 公開 API には含まれません。本 MCP の
get_subsidy_overviewは現在受付中の補助金の集計のみで、過去 3 年の交付件数集計などは MCP からは取得できません(編集部が実際に動かして API 仕様確認済み)。採択履歴が必要な場合は経済産業省・各省庁の個別公表データを参照してください。
つまずきやすいポイント
Python 環境のインストール
uv のインストールが、IT に詳しくない方には最初のハードルかもしれません。Mac であれば brew install uv、Windows であれば WSL2(Windows Subsystem for Linux)内で curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh を実行するのが楽です。
詳細は uv 公式ガイド を参照してください。
git clone のパス指定
Claude Desktop の設定ファイルで指定するディレクトリパスは絶対パスで書きます。~/ を使う省略表記は動作しません。pwd コマンドで現在のフルパスを確認できます。
申請書ドラフトの扱い
AI が生成する申請書ドラフトはたたき台です。Jグランツは国の公式システムで、虚偽記載は罰則の対象となります。必ず人間が内容を確認・修正してから提出してください。
提供範囲(編集部が実際に動かして確認した実機仕様)
現状の Jグランツ MCP は 読み取り系のデータ取得(検索 / 詳細取得 / 集計)に特化しています。具体的には:
- 可能(MCP の機能):
search_subsidies(キーワード部分一致 + acceptance フィルタ)/get_subsidy_detail(description テキスト・受付期間・上限額・status)/get_subsidy_overview(全国 受付中補助金 199 件の締切別・金額別集計)/get_file_content(保存された添付ファイルの Markdown / Base64 取得)/ping - 不可(MCP の範囲外): 電子申請の送信 / 電子署名 / 個人の申請ステータス確認 / 過去の採択履歴データ取得 / 申請書テンプレート取得 / 申請書ドラフトの自動生成
- API 仕様の限界: 多くの補助金で
get_subsidy_detailのfilesが空(jGrants 公開 API が添付 URL を返さない補助金が多い)
これらの「不可」項目のうち、「申請書ドラフトの自動生成」「公募要領の要約」「自社適合判定」は LLM 汎用機能でカバーできます(前述の MCP/LLM 切り分け参照)。電子申請の最終ステップは Jグランツの Web 画面で人間が完結する必要があります。
よくある質問
Q: 個人事業主でも補助金は使えますか?
はい。Jグランツには個人事業主・フリーランス向けの補助金(小規模事業者持続化補助金など)も登録されています。「補助金 = 大企業のもの」は誤解で、実際には小規模事業者向けの補助金が大半を占めます。
Q: 完全無料って本当ですか?
はい。Jグランツの API も Jグランツ MCP サーバー(デジタル庁公式実装)も完全無料・API キー不要です。ただし、Claude / ChatGPT / Gemini など AI 側の利用料は別途必要です(Anthropic / OpenAI / Google の料金体系に従う)。
Q: AI が見つけた補助金の情報が古くないですか?
Jグランツ API は公式データベースを直接参照するため、リアルタイム性が高いです。ただし、公募期間中でも採択枠が埋まる場合があります。申請前に必ず Jグランツの公募ページ で最新状況を確認してください。
Q: Windows でも使えますか?
Python と uv がインストールされていれば動作します。WSL2 環境内で実行するのが最もシンプルです。設定ファイルのパスは %APPDATA%\Claude\claude_desktop_config.json です。
Q: 申請書ドラフトの精度はどれくらいですか?
AI は公募要領の構造に沿って章立てや文体を整えるのは得意ですが、事業の実態を知っているのは経営者本人です。AI のドラフトは「土台」として使い、数字・固有名詞・事業の独自性を表す部分は人間が書き込む形が現実的です。
まとめ
「補助金 = 自分の会社には関係ない」と決めつけて、毎年数十万〜数百万円の機会を見過ごしている個人事業主・中小企業は多いです。
Jグランツ MCP は、その状況を 「毎月 5 分の AI 相談」 に変える仕組みです。AI が自社の業種・規模に合った補助金担当となり、毎月「使える可能性のある補助金」をチェックしてくれます。「公募要領のテキスト取得」までは MCP の責任範囲、「自社適合判定」「申請書下書き」は LLM 汎用機能の責任範囲。両者の切り分けを意識すれば、AI が経営者の補助金担当として実用レベルで機能します。
まずは試しに、Claude Desktop に「うちの会社、どんな補助金もらえる?」と聞いてみてください。AI は MCP で受付中補助金を検索し、LLM 機能で自社適合判定を行い、具体的な答えを返してくれるはずです。
掲載元の MCP 詳細は Jグランツ MCP のページ を参照してください。