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こんな経験、ありませんか?
賃貸を退去するとき、管理会社から「ハウスクリーニング代と壁紙の張替代で、敷金はほとんど返りません」と言われて、納得できないまま、なんとなくサインしてしまった——。
「壁紙が日に焼けてただけなのに、張替代を全部こっちが払うの?」 「ハウスクリーニング代って、借りた側が必ず負担するものなの?」
退去の精算は、金額の根拠を聞いても専門用語で返されることが多く、「たぶんそういうものなんだろう」と引き下がってしまいがちです。
でも、敷金と原状回復には、はっきりした根拠条文があります。民法の第621条(原状回復)と第622条の2(敷金)です。条文には「どこまでが借りた側の負担か」の線引きが、実は明確に書かれています。
この記事では、その条文をAIに正確に引かせて、自分のケースの論点を整理する方法を紹介します。
この記事でできること
e-Gov 法令 MCP を AI(Claude Desktop など)につなぐと、こんな質問に根拠条文つきで答えてもらえます。
- 「退去の敷金返還と原状回復について、民法の条文を引いて整理して」
- 「壁紙の張替代を全額請求された。『通常の使用による損耗』『経年変化』は誰の負担か、条文の文言から教えて」
- 「敷金から差し引けるのはどんな費用か、民法622条の2の条文で確認して」
ポイントは、AI に条文を勝手に要約させず、現行の原文を引用させた上で論点を整理させること。これなら「ネットの古い情報」や「うろ覚え」ではなく、いま有効な条文を出発点にできます。
退去の疑問をそのまま渡す
「敷金が返らないと言われた」をAIに伝える。
引く条文を判断する
質問を読み、民法のどの条文が必要かを見極める。
公式条文を取得する
デジタル庁の法令データから現行条文を取得。
根拠条文つきで返る
条文の引用と、論点の整理がまとまって戻る。
使うサービスについて
e-Gov 法令検索 は、デジタル庁が運営する日本の全法令データへの公式アクセス手段です。現行条文の正本が、改正を反映した最新の状態で公開され、API も無料で提供されています(認証不要)。
e-Gov 法令 MCP は、その API を AI から直接呼び出せるようにするコミュニティ製のツールです(デジタル庁公式の MCP ではありませんが、呼び出す API は公式のものです)。完全無料・API キー不要で使えます。
ツールの詳細とスペックは Plugy の e-gov-law ページ を参照してください。
必要なもの・設定
- Claude Desktop など、MCP に対応した AI クライアント
- e-Gov 法令 MCP の接続(無料・API キー不要)
設定でつまずいたら
接続の手順は、ツール詳細ページと、どのツールにも使える「おまかせ設定プロンプト」のガイドにまとめています。「自分のパソコンの場合はどうすれば?」も、その手順に沿って AI に聞けば一つずつ案内してくれます。
条文を読むと、線引きが見えてくる
ここがこの記事の核心です。退去精算でモヤモヤする「通常損耗は誰の負担か」は、民法の条文に答えの軸が書かれています。
① 原状回復の範囲(民法 第621条)
AI に引かせると、次の原文が返ってきます(編集部が実際に取得したものです)。
民法 第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
注目すべきは、カッコ書きの「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」という部分です。つまり、普通に住んでいて生じた傷み(通常損耗)や、時間の経過による劣化(経年変化)は、原状回復義務の対象から条文上はずされています。日焼けした壁紙や、家具を置いてできたへこみといった「普通に使った跡」は、ここに当たり得ます。
さらに「ただし書き」で、借りた人の責任とは言えない事由による損傷も対象外とされています。
② 敷金から差し引けるもの(民法 第622条の2)
民法 第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(…賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。…)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
条文は、賃貸借が終わって部屋を返したときは、敷金から「賃借人が負う債務の額を控除した残額」を返さなければならないとしています。控除できるのは、未払い賃料や、借主が負担すべき原状回復費用など。逆に言えば、借主が負担すべきでないもの(=①の通常損耗・経年変化)は、本来そこから差し引く根拠にならない、という読み方の出発点になります。
条文は出発点。細かい線引きは条文だけでは決まらない
「このタバコのヤニは通常損耗か」「ペットの傷はどうか」といった具体的な線引きは、条文だけでは確定しません。実務では国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」や個別の裁判例、契約書の特約(原状回復特約)が関わります。条文は「何が原則か」を知るための土台であり、最終的な金額判断は次の「免責」の通り専門家にご確認ください。
実際に使ってみる(プロンプト例)
設定が済んだら、退去の状況をそのまま AI に伝えてみましょう。
例1: 敷金返還と原状回復の全体像をつかむ
今度、賃貸を退去します。敷金の返還と原状回復の範囲について、
民法第622条の2と第621条の条文を引用したうえで、
「通常損耗」「経年変化」が借主の負担になるのかを、条文の文言に沿って整理してください。
AI が find_law_article で民法621条・622条の2を取得し、原文を引用してから論点を整理してくれます。
例2: 個別の請求項目を条文に当てる
退去時に「ハウスクリーニング代」と「壁紙の張替代」を敷金から全額差し引くと言われました。
民法621条の「通常の使用及び収益によって生じた損耗」「経年変化を除く」という文言を引用して、
どこまでが借主負担と考えられるかの整理と、確認すべきポイントを教えてください。
「全額そちら負担です」と言われた費用が、条文上の原則に照らしてどう位置づけられるのか——その論点を、根拠条文つきで自分の手元に持てるのが、このやり方の価値です。
よくある質問
Q. これで「敷金は返ってくる」と確定できますか?
いいえ。この方法でできるのは、原則を定めた条文を正確に知り、論点を整理することまでです。実際の金額は、契約書の特約・部屋の状態・ガイドラインや裁判例の評価によって変わります。条文は交渉や相談の土台にはなりますが、結論そのものではありません。
Q. 契約書に「ハウスクリーニング代は借主負担」と書いてあります。条文より特約が優先?
特約があるケースは、条文の原則と特約の有効性の両方が関わる論点です。ここはまさに専門家に相談すべき領域で、AI には「特約がある場合に論点がどう変わるか」を条文ベースで整理させるところまでに留めてください。
Q. 出てくる条文は最新ですか?
e-Gov は現行条文の正本です。改正の施行直後はタイミングのラグが生じ得るため、施行されたばかりの改正に関わる場合は施行日も合わせて確認してください。
まとめ
退去の敷金精算で「ほとんど返りません」と言われたとき、うなずく前にできることがあります。
- 原則は条文に書いてある — 通常損耗・経年変化は、民法621条で原状回復義務の対象から除かれている
- AI に要約させず、原文を引用させる — e-Gov 法令 MCP なら、現行条文の正本を出発点にできる
- 結論ではなく、論点整理に使う — 条文で土台を固め、特約や金額の判断は専門家へ
「なんとなく払う」を「条文を見てから判断する」に変えるだけで、退去の精算は少し違って見えてきます。賃貸契約まわりをもっと広く条文ベースで眺めたい場合は、契約書の根拠法令を自分でレビューするガイドも合わせてどうぞ。
免責
本記事は、AI で現行条文を引いて自分で論点を整理するための情報提供であり、個別の事案への法的アドバイスではありません。実際の敷金返還の交渉・金額の判断・特約の有効性などは、弁護士等の専門家にご相談ください。費用面で不安がある場合は、法テラス(日本司法支援センター)の無料相談も利用できます。AI の出力例は編集部が実際に取得した参考情報です。